急な訃報に接し、香典の準備を前にして「どうしよう…」と不安に思っていませんか?
ご安心ください。この記事は、初めて香典を準備するあなたのための「実践的なチェックリスト」です。
上から順に確認していくだけで、誰に見せても恥ずくしない、心のこもった香典を準備できます。
この記事では、必要なものの準備から書き方の見本、金額の相場、当日の渡し方まで、あなたの不安が自信に変わる全手順を解説します。
なぜ私たちは、香典の準備でこんなにも不安になるのか
「薄墨のペンがないだけで、非常識だと思われないだろうか」「金額が少なすぎたら失礼にあたらないか」。
これまで多くの方のご相談に乗ってきましたが、香典の準備で不安になるのは、あなただけではありません。
この不安の正体は、「故人やご遺族に対して、失礼なことをしたくない」という、あなたの優しさそのものです。香典は、故人を悼み、ご遺族を慰める大切な気持ちを形にするものですから作法に迷うのは当然のことです。
ですが、忘れないでください。マナーの根底にあるのは、相手を思いやる「心」です。
この記事が、あなたのその温かい心を正しく伝えるための、心強い盾となることをお約束します。
これだけ見ればOK!香典準備の4ステップ・チェックリスト
ここからは、具体的な準備の手順を4つのステップに分けて解説します。
このチェックリストを上から順に進めれば、誰でも間違いなく香典を準備できます。
ステップ1:まずこれを揃えよう(準備編)
最初に、以下の3つを準備してください。
- 香典袋: 故人の宗教が分からない場合でも、多くの宗派で使える白黒または双銀の結び切りの水引(みずひき)がついたものを選びましょう。包む金額が5,000円や10,000円であれば、水引が印刷されたシンプルなもので十分です。
- 筆記用具: 「悲しみの涙で墨が薄まる」という意味合いから、薄墨の筆ペンが最も丁寧です。もし準備できなければ、通常の筆ペンや黒のサインペンでも問題ありません。ただし、ボールペンや万年筆の使用は避けましょう。
- お金: 新札(ピン札)は「不幸を予期して準備していた」という印象を与えかねないため、避けるのがマナーです。もし新札しか手元になければ、一度くっきりと折り目を付けてから使うようにしましょう。
ステップ2:外袋を書く(見本あり)
香典袋の顔となる外袋には、「表書き」と「名前」を書きます。
- 表書き(上段): 水引の上段中央に、「御霊前(ごれいぜん)」と書きます。「御霊前」と「御仏前(ごぶつぜん)」は似ていますが、明確な使い分けがあります。仏教の多くの宗派では、故人が亡くなってから四十九日までは霊としてこの世にいるとされ「御霊前」を、四十九日を過ぎて仏様になった後は「御仏前」を使います。通夜や葬儀の時点では「御霊前」が最も一般的で安全な選択です。
- 名前(下段): 水引の下段中央に、表書きより少し小さめに、自分のフルネームを楷書で丁寧に書きます。
ステップ3:中袋を書く(見本あり)
お金を入れる中袋(または中包み)には、金額、住所、氏名を正確に記入します。
この記入が、ご遺族が後で香典を整理する際に非常に重要になります。
- 表面(金額): 中央に、包んだ金額を漢数字(旧字体)で書きます。漢数字は中袋に金額を記述する際の正式なルールです。例えば「金 伍阡圓」のように記載します。
- 見本:
- 3,000円 →
金 参阡圓 - 5,000円 →
金 伍阡圓 - 10,000円 →
金 壱萬圓
- 3,000円 →
- 見本:
- 裏面(住所・氏名): 左側に、郵便番号、住所、氏名を記入します。ご遺族が香典返しなどを準備する際に必要な情報ですので、読みやすい字で正確に書きましょう。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 中袋には、必ず住所と氏名を書きましょう。
なぜなら、この点は多くの方がうっかり見落としがちな最大のポイントだからです。ご遺族は、葬儀後に芳名帳と照らし合わせて香典を整理されますが、同姓の方やご住所が不明な方がいると、大変困ってしまいます。あなたの弔意をきちんと伝えるためにも、誰からの香典か明確にすることが、受け取る側への何よりの配慮になります。
ステップ4:お金を正しく入れる
中袋にお金を入れます。
お札の入れ方にも作法があります。
- お札の向き: お札の肖像画(顔)が描かれている面を、中袋の裏側(住所や氏名を書いた面)に向け、さらに肖像画が下に来るように揃えて入れます。これは、悲しみの場で顔を伏せるという意味合いが込められています。
- お札の枚数:
4(死)や9(苦)を連想させる枚数は避けるのが一般的です。
これで香典の準備は完了です。
【関係性別】金額はいくら包む?香典の相場と渡し方のマナー
次に、多くの方が悩む「金額」と「当日の渡し方」について解説します。
香典金額の相場
香典に包む金額は、故人との関係性が深いほど高くなるのが一般的です。
あなたの立場である「先輩のお父様」であれば、5,000円が最も一般的な金額です。
表タイトル: 故人との関係性別・香典金額の相場
| 故人との関係 | あなたの年代 | 金額の相場 |
|---|---|---|
| 友人・知人 | 20代~30代 | 5,000円 |
| 友人・知人の親 | 20代~30代 | 5,000円~10,000円 |
| 会社の同僚 | 20代~30代 | 5,000円 |
| 会社の上司・部下の親 | 20代~30代 | 5,000円~10,000円 |
| 隣人・近所の方 | 20代~30代 | 3,000円~5,000円 |
当日のスマートな渡し方
準備した香典は、袱紗(ふくさ)という布に包んで持参するのが正式なマナーです。
袱紗は、香典という大切なものを汚さず、相手への敬意を示すための道具です。
- 受付へ: 自分の順番が来たら、受付の前で一礼します。
- 袱紗から出す: バッグから袱紗を取り出し、右手で開いて香典袋を取り出します。
- 向きを整える: 取り出した香典袋を、相手(受付の方)から見て正面になるように向きを変えます。
- お渡しする: 両手で香典袋を持ち、「この度はご愁傷様でございます」といったお悔やみの言葉を簡潔に述べながらお渡しします。
もし袱紗がなければ、黒や紺など地味な色のハンカチで代用しても構いません。
よくあるご質問(FAQ)
最後に、多くの方から寄せられる細かい質問にお答えします。
Q. 薄墨の筆ペンがありません。どうすればいいですか?
A. 通常の筆ペンや黒のサインペンで代用しても、マナー違反にはなりません。 薄墨の筆ペンと通常の筆ペンは、理想と代替の関係にあります。
最も避けたいのはボールペンや鉛筆で書くことです。
気持ちを込めて丁寧に書くことが何よりも大切です。
Q. 会社の同僚と連名で出す場合はどう書きますか?
A. 3名までの連名であれば、外袋の下段中央に、右から目上の人の順で名前を書きます。
4名以上になる場合は、代表者の氏名を中央に書き、その左に「外一同(他一同)」と書き添え、全員の氏名・住所・金額を記した別紙を中袋に同封します。
Q. キリスト教式の場合は表書きはどうなりますか?
A. キリスト教式の場合、「御霊前」も使えますが、より正式には「御花料(おはなりょう)」や「献花料(けんかりょう)」と書きます。
Q. 葬儀に参列できず、郵送したい場合は?
A. 現金書留の封筒を使い、香典袋と、お悔やみの気持ちを綴った簡単な手紙を同封して郵送します。
宛名は喪主様のお名前で、葬儀後1週間以内を目安に届くように手配するのがよいでしょう。
まとめ:自信を持って、お悔やみの気持ちを伝えましょう
この記事で解説したチェックリストを、最後にもう一度確認しましょう。
- 準備: 香典袋、薄墨ペン、折り目を付けたお札を揃える。
- 書き方: 宗教が不明なら「御霊前」。中袋には住所・氏名・金額(漢数字)を忘れずに。
- 金額: 関係性で判断。友人や同僚の親なら5,000円が相場。
- 渡し方: 袱紗に包んで持参し、相手の正面に向けて両手で渡す。
このチェックリストがあれば、あなたはもう大丈夫です。
香典の準備は、故人を偲び、ご遺族に寄り添う気持ちを伝えるための大切な行いです。
自信を持って、あなたのその温かい気持ちを形にしてください。
当日の服装や受付での振る舞いに不安がある方は、こちらの「お通夜・葬儀の服装と参列マナー」の記事も合わせてお読みください。
[参考文献リスト]
- 【図解】香典の書き方を状況別に解説!金額の相場や渡し方のマナーも紹介 – いい葬儀
- 【図解】香典の書き方・入れ方、金額相場、渡し方のマナーを徹底解説 – CO-OPの家族葬
- 香典の書き方を表書き・名前・金額・中袋に分けて解説 – イオンのお葬式

